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浅野史瑠さん

デザインした文化祭の
Tシャツ

18.05.18
HIROSHIMA

1983年、茨城県に生まれ育った浅野史瑠(ふみる)さんは、働いていた東京での生活を経て、縁あって2011年3月に広島へと移り住んだ。新しい土地である広島とかつて住んだ東京、そして楽しかった地元時代。簡単には決められない、自分の居場所とものづくりのこと。

--つくば発東京経由広島着

元々絵が好きで、「ちっちゃい頃からずっと絵が好きで、そのまままっすぐ」デザインやアートの世界に近づきたいと東京にある専門学校のポップアート科へ進学。立体製作からシルクスクリーン、日本画や油絵など一通り全部を学ぶ学科だった。実家のあったつくばから通いながら卒業し、卒業後はアパレルブランド「サリー・スコット」の販売職に就いて住まいも東京に移した。そして28歳にして広島へ。地元から遠く離れ、未知の土地で暮らすということにどんな気持ちだったのだろうか。

「東京は大好きでしたし、楽しかった。今でもまた住めるチャンスがあるなら、住んでもいいと思う。でも、東京に出た時は、絶対出てやろうみたいな感じだったんですけど、実際に何年か住んでみると、ああ、いろんな所に住んだほうがいいかもなーみたいな気分にはなっていました。だから東京に住みたい、離れてもいいという両方の気持ちがありますね。実際、広島に行くのが決まった時も楽しそうという気分の方がありました。広島のことを全然知らないし、なんかよく分からなかったんだけど、ほかの土地に住むのもいいかもみたいな感じがしたんです。瀬戸内海が好きだったり、直島へ旅行したりして気になってはいたのもあっていいかなみたいな軽いノリで来たら、最初は結構きつかった。知り合いが全然いなくて泣きそうになりましたね。みんなにはすぐ慣れそうなタイプと言われるんですけど、実際は今も旅先に住んでる感がずっとあります。」

--自分で何かを発信してみたかった

広島に来てからは、会社に入って企画や販売の仕事をしながら、東京時代から続けているモノづくり活動を並行した。

「ちゃんと売るものとして作り始めたのはサリー・スコットに入った頃くらいから。やっぱり毎日刺激的だったんですよね、大好きだった皆川明さんがデザインした服に囲まれて触れられるのが。それで自分も何かやらなきゃなって思うようになって、布のブローチをちょこちょこ作って、こそこそ雑貨屋さんとかに持っていき、委託して置いてもらっていました。」

小さな頃からやっていたものづくりの延長上にあったのかもしれないが、商品としてお店に置いてもらうということに、ひとつ階段を登っていく感覚はなかったのだろうか。

「欲かな? 本当は、きっと何かを発信したいという思いはずっとあったんです。サリー・スコットの服を売ることも発信ではあるけれど、自分で作りたかった。そして、作った物を売りたかったんだと思うんです。学生の時も1、2回は持ち込みをして売った事がありましたけど、その時は課題が忙しくて。いや、違いますね……。そんなの言い訳ですね。なんだろう。学生時代から、将来は自分で何かを作ってそれを売って食べていこうっていうみたいなことへの欲はありました。間違いなく。ただ動いてなかった自分がいたということですね。」

当時を思い出しながら、無意識に諦めてしまっていた夢を噛みしめるように話してくれた。ブローチはいまも作り続け、東京だけでなく広島でも販売をしている。広島に来て働き始めた会社も、実は作品を置いてもらおうとお店に行ったのがきっかけだった。

「広島で住む家を探しに来ていた時、住み始めたら取り扱ってほしい雑貨屋さんを一緒にいろいろ巡って探していたんです。それで引っ越してきてから『委託をお願いしたいんですが……』と言いに行った後、会社の社長さんが『もし良かったら作家活動をしながらでいいので、お店に立ったりする仕事もしませんか』と誘ってくださって。」

--一緒に遊ぶわけでもない、呼んでも来ないウサギ

今は販売や企画の仕事は辞めてハンドメイド作家としての活動に絞り、1ヶ月に100個以上を制作し、ハンドメイド作家のイベントや東京や大阪、そして広島の取扱店で販売をしている。10年近くブローチを作り続けながらも、基本的なモチーフは変わっていないそう。

「技術やクオリティーが上がったところはありますけど、モチーフは変わらず、ずっと同じようものが好きで作っています。基本は鳥なんですが、あと、広島に来て飼い始めたウサギですね(笑)そして、猫。猫はやはり超人気です。昔から動物が好きで、よく絵も描いていました。」

話しを伺っている間、同じ部屋にいる一羽のウサギはケージの中でじっとしていた。

「そもそも動物が好きで飼いたかったんですが、マンションの都合上、犬や猫がダメだったんですね。で、前に働いていた仕事場の先輩でウサギ飼っている人がいて、動物がダメなマンションでもウサギは飼えるという話を聞いて、よし!って。飼ってみてわかったんですが、一緒に遊ぶわけでもないし、呼んでもあんまり来ません(笑)。なんだろう、いつも見てますね。ケージから部屋に放してピョンピョンしてるところとかかわいい。」

--デザインを担当した文化祭のTシャツ

今回ループケアをするために用意した服は、高校の文化祭の時に作ったオリジナルのTシャツ。元々絵が好きで、今ではハンドメイド作家として活躍する浅野さんがイラストやデザインをクラスの代表として担当したものだそうだ。

「文化祭の時に、各クラスで1枚Tシャツを作るということがあったんですね。今あらためて見て、普段着るようなものとしては全然気に入ってなくて、もちろん高校時代のものですし、後ろに何かいろいろ付いていて恥ずかしいんですけど。『絵、得意でしょ』『ちょっと何か描いてよ』みたいなノリで頼まれて、私が描いたんです。何の絵を描くかは自由で、好きなの描いてきてと言われたので、お風呂入ってる女の子を描きました。モチーフとして女の子が好きだったんです。今も好きです。“(GLAYの)JIRO”とか描いていて超恥ずかしいんですが、元々は絵だけのTシャツで、他の文字や絵、フリルなんかは好き勝手に自分たちでリメイクしてこの形になっています。」

--私も守る好きなデザイン、好きな絵、好きな音楽

Tシャツのリメイクや作家として作っているもの、部屋に置かれた様々なものを見ていると好きなものがハッキリとあることがわかる。

「昔から好きなものは変わらないかもしれないですね。ずっと好きなものは好き。年相応にちょっとずつキャピキャピしたところはなくなってきて、ちょっと大人に、シンプルにはなってきたかなとは思いますけど。絵も、最初は本当にいかにもイラストみたいな、ポップでマンガっぽいようなものだったんですけど、mina perphonenの皆川さんや荒井良二さんを好きになって、今は落書きっぽく見えるようなものとか、抽象っぽいペインティングのようなこともやるようになってきました。あと、絵以外で長くずっと好きなものは音楽ですね。クラムボンにドハマリして、ずっと好きです。」

広島でもライブを観ることは何よりの楽しみで、前の仕事で出会った音楽仲間と一緒に広島のCLUB QUATTROに頻繁に訪れている。大好きなクラムボンの時は最前列で目に焼き付けている。昔から楽しいことが大好きで、友だちと一緒にいるのが何より楽しかった。

「昔から目立ちたがり屋というか、Tシャツをリメイクするくらいだったし、やりたがり屋みたいな人でした。常に輪の真ん中って感じで、友達がいないとさみしいっていうタイプだったと思います。好き放題やってましたよ。美術部だったんですけど、美術室で焼き芋を焼いたり鍋やったり。男の子にモテるというより、女の子にモテるタイプだったと思います。高校や専門学校の卒業式の後、年下の後輩女子によく手紙をもらいましたね。男子にはもらった事ない(笑)。大体いつも楽しくて。夏休みも早く終わったらいいのにとすら思っていましたから相当学校好きだったと思います。」
「制服がスカート以外自由で、当時流行っていた『ご近所物語』っていうマンガに影響をされて、ピンクとか縞々のタイツとか履いて、フリルが付いて刺繍が入ったブラウスを着たりしてほぼ私服でした(笑)。本当はダメだったピアスもしてました。三年生になったら、皆の前で『いくら自由でも、ダメなものはダメ』とすごい怒られて、超恥ずかしかったこともありました……。」

広島に移り住んでからの6年間は、楽しかった学校生活やその仲間との暮らしからは離れている。

「自分にとっては、人とわいわいやってるのが自分ぽいと思いつつも、ハンドメイド作家としてこっちで過ごしていることも自分ぽいとも思っているんです。葛藤がありますね。高校時代がすっごい楽しかったし、Tシャツも捨てずに取っておいたわけですから。」

Tシャツはアルバムへ。東京に寂しさを残しつつも、広島の生活も充実しつつある。そこに入るのはかつて楽しかった時間か、これから作っていく楽しい広島での暮らしか。はたまた自分の作品、もしくは好きなバンドの写真かもしれない。

聞き手: 山口博之

写真: 山田泰一

PROFILE

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浅野史瑠

雑貨作家

1983年茨城県に生まれ、高校卒業後ポップアートを学ぶために東京の専門学校へ。
卒業後、アパレル販売の経験を経た後、縁あって広島県へ転居する。
子どもの頃から好きだったモノづくりが自身の発信ツールとなりアクセサリーを中心にした雑貨作家へ。
数ミリ単位の小さなハギレを繋ぎ合わせる独特の手法にファンが拡大中。
東京、広島の雑貨セレクトショップにて販売展開している。

聞き手: 山口博之

写真: 山田泰一

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